伝送技術

FPU用MIMO方式の復調技術

 マラソンや駅伝などの移動中継で、送信アンテナと受信アンテナを複数用いて中継車から映像素材を無線で伝送する技術です。

【特  長】
 ・2つの送信アンテナ、2つの受信アンテナを用いるSTTC-MIMO(Space-Time TrellisCode-Multiple-Input Multiple-Output)方式とすることで、伝送容量が増大し途切れにくくなります。
 ・従来法の1つの送信アンテナと1つの受信アンテナを用いる方式に比べて、伝送容量を最大2倍、または伝送距離を最大2倍にできます。
 ・2×2 STTC-MIMO 方式の復調アルゴリズムは、4受信(2×4)など、さらに複数で受信するシステムへの拡張が可能です。

【利用分野】
 ・マラソンや駅伝などの移動中継用FPU(Field Pick-up Unit:野外中継装置)
 ・スポーツ中継などのワイヤレスカメラ

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図 MIMO 方式FPU の運用イメージ


【技術解説】
 マラソンや駅伝などの移動中継で用いる野外中継装置(FPU)は、OFDM 方式が採用されたことにより、それまでのアナログ方式に比べて安定した映像伝送を行うことができるようになりました。しかし、1つの送信アンテナと1つの受信アンテナを用いた従来法では、映像圧縮にAVC/H.264 方式を用いた場合の映像信号の所要ビットレート(例えば35Mbps)の無線伝送を途切れずに実現することは困難でした。
 上記の問題を解決するための手法として、2つの送信アンテナと2つの受信アンテナを用いる2×2 MIMO 方式があります。MIMO 方式にはさまざまな方式がありますが、時空間トレリス符号化MIMO(STTC-MIMO)方式が効果的です。この2×2 STTC-MIMO 方式は、1つの情報系列に対して2つの異なる畳み込み符号化(誤り訂正符号化)を行った出力を、2つの送信アンテナから送信します。受信側では2つの受信アンテナで受信した2つの受信信号を用いて、ビタビ復号法(畳み込み符号を復号する代表的な方法)により、送信された情報系列を推定します。このようにSTTC-MIMO 方式では、送信アンテナと受信アンテナの増加分を冗長系として利用する方式です。
 また、従来法では、畳み込み符号化の2つの出力を1つの信号系列にして、1つの送信アンテナから出力していましたが、STTC-MIMO 方式では、畳み込み符号化の出力をそのまま個別の送信アンテナから送信するため、情報レートを従来法に対して最大で2倍にすること
ができます。16QAM の2×2 STTC-MIMO 方式は、256QAM の従来法と同じ情報レートを、16QAM の従来法と同等の回線信頼性で伝送できることがシミュレーションで確認できています。
 STTC-MIMO 方式の復調では、ビタビ復号法による最尤系列推定を行います。STTC-MIMO方式は復調の信号処理が複雑なため、従来は実現が困難だとされていましたが、STTC-MIMO方式の復調を効率的に行う方法が実現できます。

【提供可能な技術】
 ・QPSK、8PSK、16QAM に対応した2送信2受信の時空間トレリス符号化MIMO 方式
  (2×2 STTC-MIMO 方式)の復調技術(復調アルゴリズムの提供と技術解説)

【関連特許】
 ・特許第5498846号 時空間ビタビ復号器
(上記のリンクは開放特許DBにリンクしており、NHKエンジニアリングシステムのWebサイトから離れます)


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