多チャンネル音響制作のための音源変換技術(アップミックス技術)
従来の2ch ステレオ音源を、より多くのチャンネル数の音源に変換する技術です。既存の音源を、 容易に多チャンネル音響制作に活用できます。
【利用分野】
・映画や放送番組などの多チャンネル音響コンテンツ制作
・いろいろな DAW(デジタルオーディオワークステーション)のソフトウエアへの組み込み
・サンプリングリバーブ(DAW のプラグインソフトウエア)の多チャンネル残響データの生成
【特 長】
1. 5.1chや7.1ch、22.2ch音響など多チャンネル音響コンテンツの制作に、従来の2chステレオ音源 が利用できます。
2. 元の音源の定位感を保ったまま前方のチャンネルを拡張できます。
3. 元の音源が持っている響き成分(インパルス応答)を抽出し、空間の響きを再構成することで、違和感のない多チャンネルシステムに対応した音源へ変換できます。
4. この技術を使って変換した音源を2chステレオや5.1ch音源に再変換(ダウンミックス)しても、音質劣化しにくい変換方式です。
【技術解説】
近年、5.1ch を超えるチャンネル数を持つ、多チャンネル音響システムが普及しつつあります。こう した多チャンネル音響のコンテンツを制作する際に、すべての音源を多チャンネルで新規に準備するの は大変です。本技術では、従来の2ch ステレオや 5.1ch サラウンド音源(元の音源)を、より多くのチャ ンネル数を持つ音源へ変換し、多チャンネル音響のコンテンツの制作に活用することができます。
従来の音源を多チャンネルの音源へ変換するには、元の音源が持つ音の定位感を保ちつつ、前方のチャ ンネル数を増やしたり、変換前の音源が元来持つ響きに近い音色の響きを作り出し、変換前の音源には 存在しない位置のスピーカーから再生したりする必要があります。
1. 前方チャンネル拡張技術
2ch ステレオなど元の音源の定位を保ちつつ、7.1ch や 22.2ch 音響方式等で必要な複数の前方チャ ンネル音源が生成できます。
2. 残響成分抽出技術
2ch ステレオなど元の音源が持つ響き成分(インパルス応答)を抽出します。元の音源が持つ響き 成分を用いて多チャンネルの音源を構成することで、音質的に違和感のない音源変換をすることがで きます。
3. 残響成分拡張技術
上記の技術では、変換前の音源のチャンネル数という、限られた数の響き成分しか抽出することが できません。しかし、より多チャンネルの音源へ変換する場合には、十分な数の響き成分を用いなければ、豊かな響きを持つ音源を構成することができません。本拡張技術では、単一の響き成分から、複数の響き成分へ拡張することで、限られた数の響き成 分からでも、豊かな響きを持つ 多チャンネルの音源へ変換することができます。
これらを組み合わせることで、多チャンネル音響コンテンツの制作に、 従来から使っている音源を容易に活用できるようになります。
【提供可能な技術】
・ 前方チャンネルの拡張技術
・ 音源に含まれる響き成分(インパルス応答)の抽出技術
・ 1ch の響き成分から多チャンネルの響き成分への拡張技術
・ 多チャンネル音源の構成技術
【関連特許】
・ 特開2017-163458 アップミックス装置及びプログラム
・ 特開2017-173456 インパルス応答推定装置及びプログラム
(上記のリンクは開放特許DBにリンクしており、NHKエンジニアリングシステムのWebサイトから離れます)
≪キーワード≫
インパルス応答
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多チャンネル音響システム