NHK技術カタログ

視覚障害者向け デジタル放送バリアフリー受信機

視覚に障害のある人がデジタル放送を楽しめるバリアフリーの実現を目指したセットトップボックス(STB)型の受信システムです。弱視や全盲、盲ろうなどの障害のタイプや程度に合わせたユーザーインタフェースを備え、データ放送や電子番組ガイド(EPG)の情報へのアクセスを支援します。盲ろうの人は、実時間で字幕放送を介しテレビの内容を点字で知ることができます。

特長

・データ放送やEPG へのアクセスのほか容易な操作で録画再生ができます。
・盲ろう者向けに字幕放送の内容を点字でリアルタイムに出力します。
・音声や点字、拡大・反転表示など、ユーザーが好みの提示形態を選択して情報を得られます。
・ナビゲーションガイドやサイン音・振動で情報へのアクセスやテレビ操作を支援します。
・メニュー形式による簡単なリモコン操作で、情報へのアクセスやテレビ操作ができます。

利用分野

・視覚に障害のある人のためのテレビ
・高齢者や視力の衰えた人へのユーザーインタフェース

技術解説

視覚に障害のある人へのデジタル放送のアクセシビリティが求められています。テレビの操作や電子番組表を音声読み上げする受信機が製品化されていますが、ユーザーの障害のタイプや程度を考慮したインタフェースやアクセシビリティはまだ十分とはいえません。また、盲ろう者がテレビの情報を得る手段はありませんでした。このような課題を解決するために視覚障害者向けのバリアフリー受信機VIA-TV(Visually Impaired Assist TV)を開発しました。

(1)システムの構成
VIA-TV は、受信部、アクセシブル変換部、バリアフリーブラウザ、提示装置で構成されます。受信部は、映像・音声の復調、字幕・EPG データの蓄積、地震などのイベント情報をアクセシブル変換部に受け渡す機能をもちます。アクセシブル変換部では、BML のコンテンツに意味情報を付加したり、コンテンツを階層的なツリー構造に変換します。また、表やニュースなどの項目が格納されるバイナリーテーブルのフォーマットを解釈して抽出する処理を行います。バリアフリーブラウザでは、ツリー構造で表現されたコンテンツのデータを基に種々の装置で障害のタイプや程度に応じたさまざまな形態に変換して提示します。各種コンンツの文字情報は音声合成と点字装置、および弱視者向けに拡大や反転表示でモニタに提示します。
本方式では、受信部とアクセシブル変換部、バリアフリーブラウザ間で情報を授受できるAPI を規定しているので、通信など他方式のコンテンツにも汎用的に使用できる可能性があります。また、ブラウザと点字装置間には統一的な点字インタフェースを実装することで、上位アプリ制作者は点字の仕組みや点字装置の機種を意識することなく開発が可能です。

(2)ユーザーインタフェース(UI)
VIA-TV では、自分に最も適した複数の提示出力を選択できます。メニュー項目のテキストデータは音声と点字に変換して提示されます。弱視の人に見やすく伝えるために、画面をCSS(Cascading Style Sheets)形式で拡大・反転表示、色の組み合わせを自由に変更して多種の画面を表示できます。また、ユーザーが音声と点字、拡大画面を併用して利用できるように、テキスト情報を出力する際に、音声で全文読みする音声優先、点字を読みながら1文ごとに音声と同期する点字優先、拡大画面でページ送りに音声が同期する弱視優先の3つのUI モードから選択できます。盲ろう者が字幕放送を点字で読む際には、字幕データを蓄積しユーザーの操作に応じて出力することで、実時間あるいは後追いで情報を得られます。
このほか、効率的にアクセスするために、ナビゲーションに必要なガイドのほか、サイン音と振動で操作の応答や階層移動、情報取得中などの状態を的確に伝える機能を備えています。

提供可能な技術

・視覚障害に適応したユーザーインタフェース技術
・点字インターフェース技術
・データ放送のアクセシブルなデータ変換技術

関連特許

特許第4275329 号 表示支援装置、そのプログラム及びそのプログラムを格納した記憶媒体並びに番組情報表示装置
特許第4728841 号 提示情報出力装置 
特許第5070104 号 データコンテンツ受信装置
(上記のリンクは開放特許DBにリンクしており、NHKエンジニアリングシステムのWebサイトから離れます)

≪キーワード≫ STB / バリアフリー / 点字