NHK技術カタログ

図やグラフを伝える触覚提示技術

視覚に障害のある人に、触覚ディスプレイを用いてグラフィカルな情報が理解しやすい環境を提供するための支援技術です。GUI(Graphical User Interface) の操作メニュー、図、グラフなどを、触覚と音声で迅速に把握することができます。

利用分野

・視覚に障害のある人のための触覚ディスプレイを用いた図やグラフの教育教材
・駅や美術館の公共施設における触知案内図
・Web やデータ放送、ハイブリッドキャストなどの図やグラフの触覚による情報伝達支援

特長

(1) 使用者が触れた位置の内容を音声や点字で確認してインタラクティブに選択操作ができます。
(2) 図やグラフを凹凸と振動で提示できます。
(3) 手を置くだけで、振動によって、提示された情報の位置や重要度を把握できます。
(4) 従来の触覚ディスプレイに新たな駆動回路を加える必要がありません。

技術解説

視覚障害者に対して、言葉の説明だけでは理解しにくい図やグラフなどを伝える手段に触覚ディスプレイがあります。触覚ディスプレイでは微小なピンの凹凸の集まりで図の形を表現します。従来は、触れた箇所の内容を音声や点字で確認できないことや目で見るように図の全体を一覧的に把握することが難しいことなどの課題がありました。このような課題を解決し、2次元の情報をより理解しやすくする環境を提供する技術です。

(1)指位置検出を用いたインタラクティブな操作・提示
二つの発受光センサーを利用した三角測量方式による光学式タッチパネルを触覚ディスプレイ上に実装することで、指で触れた位置の座標を高精度に検出します。これにより、インタラクティブな選択操作を実現し、触れた位置に対応するオブジェクトの内容を音声や点字で出力することも可能になります。

(2)局所振動の機能を備えた触覚ディスプレイ駆動提示
従来の触覚ディスプレイでは、2 値化した画像をピンの凹凸だけで表示していましたが、局所振動の機能を備えることによって、振動のパターンによる情報提示を実現しました。周波数や時間間隔の組み合わせによって、多種多様な振動パターンの生成が可能です。
なお、局所振動の生成方式には以下の二つがあります。

1. マークアップ記述したオブジェクトを凹凸や振動で提示する方式
この方式では、XML で記述したそれぞれのオブジェクトのタグの属性値(図参照)を抽出し、オブジェクトを表現する1ピンごとにあらかじめ番号に割り当てた時間周期で1画面分のすべてのピンのon-off(凸- 凹)のパターンの駆動データを生成します。局所振動では、面だけでなく線状のオブジェクトをそれぞれ異なる振動で表示できます。オブジェクトに重なりがある場合には振動の優先度を設定することもできます。
2. 画像から色相情報を検出して凸や振動で提示する方式
この方式は、危険度などを色で表す図や、色で区別した交差グラフなどを対象とし、画像の色相に対応づけてあらかじめ設定した振動パターンを生成します。触れた位置の内容を音声で出力するには、①のマークアップ記述のオブジェクトと組み合わせることで可能になります。

提供可能な技術

・触れた指の位置の検出システム
・触覚ディスプレイにおける凹凸および振動の駆動提示方式
・マークアップ記述情報と画像の色情報から触覚ディスプレイに提示する変換技術

関連特許

特許第5816016号 触覚提示装置及び触覚提示プログラム
特許第6063274号 触覚提示制御装置及び触覚提示制御プログラム
(上記のリンクは開放特許DBにリンクしており、NHKエンジニアリングシステムのWebサイトから離れます)

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