NHK技術カタログ

MIMO-OFDM用長遅延マルチパス等化技術

送信側と受信側でそれぞれ複数のアンテナを使用し、異なる情報を伝送する空間分割多重MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)-OFDM 方式に適用できる長遅延マルチパス等化技です。ガードインターバル長(GI 長)を大きく越えるような長い遅延時間のマルチパスが多存在するような受信環境においても、受信特性を改善することができます。

特長

・遅延時間の差がGI 長を越える長遅延マルチパスによる周波数特性歪みを補正できます。
・送受アンテナ間の複数の伝搬路の特性をそれぞれ推定し、推定結果を組み合わせて等化処理を行うことで、MIMO 方式に対応します。
・地上デジタル放送用として実用実績のある長遅延マルチパス等化技術を、MIMO 方式に拡したものです。

利用分野

・MIMO-OFDM 信号受信機

技術解説

空間分割多重MIMO システムは、複数のアンテナからそれぞれ異なる情報を変調した電波を送信し、複数のアンテナを用いて受信した後に系統分離・等化処理を行います。周波数帯域幅を増加させることなく、伝送容量を拡大できることから、無線LAN やLTE などのさまざまな無線システムに応用されています。
OFDM 方式は、周波数選択性フェージングに対する耐性に優れることから、地上デジタル放送を含む多くのシステムにおいて、変調方式として採用されています。
この両者は、それぞれの利点を損なうことなく組み合わせることができますが、それぞれの欠点も合わせ持つことになります。ここで紹介するのは、空間分割多重MIMO-OFDM システムにおいて、「遅延広がりがガードインターバル長(GI 長)を越えるときに、受信特性が急激に劣化する」というOFDM 方式の欠点を改善する技術です。

(1)チャネル行列の推定
送受アンテナ間の伝搬路の数の周波数特性(チャネル行列)を、信号に多重されているパイット信号や、復調後の信号をシンボル判定処理することにより得られる推定送信シンボルなどを用いて推定します。2 送信2 受信のシステムの場合は、伝搬路は2×2 の行列となり、4 つの周波数特性をそれぞれ推定します。

(2)周波数領域空間フィルターによる長遅延マルチパス等化
周波数領域で行列演算を行う空間フィルターを、2 つ従属接続します。前段の空間フィルターは、遅延時間がGI 長を越えるマルチパスによる周波数特性歪みの補正を目的とし、後段の空間フィルターは、遅延時間がGI 長以内のマルチパスによる周波数特性歪みの補正を目的としています。
全体としてチャネル行列の逆特性が乗じられるように、上記の2 つの空間フィルターを動作させることによって、マルチパス(遅延時間がGI 長を越えるものも含む)による周波数特性歪みの補正と系統分離を実現することができます。

提供可能な技術

・周波数領域等化技術
・高精度なチャネル推定技術

関連特許

特許第4177708 号 OFDM 信号復調装置
特許第5331583 号 マルチパス等化器
特許第5460487 号 OFDM 信号受信装置および中継装置
・特許第6209087号 受信装置及びプログラム
・特許第6306857号 受信装置及びプログラム
(上記のリンクは開放特許DBにリンクしており、NHKエンジニアリングシステムのWebサイトから離れます)

≪キーワード≫ MIMO-OFDM / ガードインターバル / マルチパス / 等化器